それは、とても静かな日でした。
今日、わたしは40年以上にわたり勤めた会社を退職しました。
今でこそ退職は珍しいことではなくなりました。
でも、自身にとっては初めての退職。退職には万感の思いがあることに初めて気がつきました。
日本でも働く様相のグローバル化が進んで、スキルアップやキャリアアップを重ねることが日常的になっています。
Z世代の場合では、入社3年以内に3割が退社するようになったそうです。
ですが、わたし世代の50代にとっては会社は一生に1社だけ勤めるもの。
働くって言うのはそういうものでした。
とは言え、私は自分自身で退職日を決めました。
会社に新しく導入された早期退職制度を利用しての退職。そうです、会社を早期退職をしたのです。
退職が決まったのが3ヶ月前、その当時は気持ちに変化はありません。
別にナイーブになることもなく、特に感慨もなく、ただ「退職が決まったのだな」とターゲット日が設定されただけでした。
ですが退職日が近づくにつれて、昔のことが頭の中に鮮明に思い出さるようになりだしたのです。
気にもならない、ある日の小さな思い出が記憶から呼び出されるようになったのです。
例えば、同じ職場の同僚と焼き肉に行ったこと。
その日はなぜか気持ちが落ち込んでいた日でした。
なので仕事終わりはまっすぐ帰りたい日ではありましたが、以前から決まっていた同僚との食事会に参加をしました。
予約せずの食事会、週末でどこもいっぱいです。
同僚が運転をする車であちことドライブをしながら見つけたのが、街の小さな焼肉屋さんでした。
モクモクした煙にまかれながら焼肉食べてビールを飲んだ思い出。
それがカラーで頭に浮かぶようになったのです。
今までは思い出しもしなかった記憶が、まるで昨日のことのように鮮明に思い出せるようになったのでした。
これと同じようなことがいくつもあります。
考えると30年以上前の記憶が、まるでつい最近のことのように思い出される。
これってなんなのでしょうか?
きっかけは、やはり退職が近くなったということだとは思います。
人の頭っておもしろいですよね。
長年勤めた会社を離れることになって、感慨はないと思ってはいても、やっぱり心は寂しがっていたのかもしれません。
つらいことも楽しいこともいっぱいあって、私の人生そのものだった会社勤め。
40年と10ヶ月の社会人生活が終了をしました。
やっぱり寂しです……
次のステップは学生に戻って学位を取得すること。
新たな扉を自分の力で開いていこうと思います。
がんばろっと。