高野文子さんの「絶対安全剃刀」なる漫画本、この本には思い出があります。
この本が出版されたのは1982年、私が高校を卒業して就職した年でした。
その当時の私はまだ大人になりきれていなくて、就職してはいたものの、大都会の東京に憧れを持っていました。
「東京に住みたいなぁ」とか、「コピーライターになりたいなぁ」なんて漠然とした夢を持っていたのです。
家を出る勇気もないくせにね。
18才とか19才ですからまだまだこどもだったのでしょう、当時はそんな夢ばかり見ていたものです。
その頃に出会った本が、高野文子さんの「絶対安全剃刀」でした。
この本はどこで知ったのでしょうか?
今では手に入れた本も失くしてますし、どうして買う気になったのかも定かではありません。
でも何故か「絶対に入手するべき」って気持ちがあったことだけは憶えています。
「絶対安全剃刀」は、当時読んでいた雑誌にでも紹介されていたのでしょう。
なにかスタイリッシュで都会的そしておしゃれな雰囲気を醸し出す、少年マンガとは一線を画する漫画本でした。
当時は高野文子さんをほとんど知りませんでしたが購入しています。
今考えると不思議ですね、中身を知らずに買うって当時の自分にしてはありえないくらいこことでした。
雑誌の紹介を読んでおしゃれな雰囲気にひかれて購入したのか?
それまで読んでいた少年マンガ、そして姉の影響で読んでいた少女マンガとも違う系統のマンガです。
ほんと当時の自分に問い詰めて聞いてみたいです。
「なんで買ったの?」と。
「絶対安全剃刀」は高野文子さんの短編集です。
それまで読んでいたどの系統にも属さない、新鮮さが確かにありました。
中身の作品についての記憶はあいまいです。
なにせ読んだのが30年ほど前、記憶に残っているのはおならの話、東京に出たい田舎の子の話くらい。
今思い返すと「絶対安全剃刀」なるタイトルの斬新さとか、河原町まで電車に乗って買いに行ったこととか、内容に関係ないことばかり思い浮かびます。
当時の記憶、漠然と「東京に出たい」とか「コピーライターになりたい」なんて、少年めいたわたしの当時の思いも、本と一緒に記憶が蘇ってきました。
この本を買った喜び、それは漫画本の中でたぶん一番です。
だって今思い返しても、この本を買ったことを誇りに思う自分がいるのです。
ふと頭に浮かんで思い出した「絶対安全剃刀」の本。
この本と出会えた喜びをひとりで噛み締めておくのがもったいなくて、ブログに公開して認めておきます。