私はアニメや漫画が好きである。子供のころは皆がそうだったと思います。
私が小学生のころは『貸本屋』というのがあった。
当時私が住んでいた街(京都)には小学校区内に2軒の『貸本屋』があったのを記憶している。
一軒はおじいちゃんがやっている『貸本屋』。
偶然にこのお店の隣のアパートに住むことになって1~2度本を借りた思い出がある。
たぶん小学校に上がる前だったかもしれない。
お兄ちゃんに連れられてお店で借りた記憶だけが残っている。
どんな本を借りたかどんなお店だったかはあまり記憶にない。また本を返しにいった記憶もない。
たぶんお兄ちゃんに返しに行ってもらったのだろう。それくらい子どもだった時の記憶である。
アパートの隣の『貸本屋』は越してからそれほどしないうちにお店を閉めてしまった。
おじいちゃんが引退したというのを後から聞いたように思う。
その後、小学3年生くらいに別の『貸本屋』へお邪魔するようになった。
こちらは姉に教えてもらったと思う。
私の友だちには『貸本屋』を利用する子はいなかった。あとで私が教えて何人か利用するようになったのは憶えている。
子どもが利用するのは伝手がないとちょっと敷居が高かったのであろう。
お店の真ん中に本棚を置いて左右で置いている本を分けていた。店の左側をおとな向け?活字本、店の右側は漫画本が置かれていた。私はもちろん右側の漫画本コーナーに入り浸っていた。
こづかいがある日には『貸本屋』必ず訪れていた。学校から帰るとカバンを置いてすぐさまに『貸本屋』へ直行していたように記憶している。
雨が振っても暑くても寒くても構わず訪れていたので、このためにお店のおばちゃんとも結構仲良くなっていたと思う。
おばちゃんは店の奥にある番台みたいな場所にいつも座っていて本の整理やら接客とかしていた。
今のようなレジは無かったように思える、金庫というか貯金箱のような…当時はこんな小さなお店がたくさんあったように思う。
仲良くなるといつもお話していたように思う。あんたどこの子?いつも借りてくれてありがとうね。今日は何していたん?みたいな話をおばちゃんといっぱいしていたように思う。
今みたいなマニュアルの接客ではない人情味がいっぱいの店との付き合いだったように思う。
当時はおこづかいを月に300円とか500円をもらっていた。
よく借りていた当時の貸本代は一泊二日で1冊30円とか40円くらいだったと記憶している。
お店で立ち読みして気に入った本を2冊!!例えば1巻と2巻を借りたりしていた。
やはり1冊では我慢出来なかったのだろう。
こづかいは半月もしないうちに消えて失くなっていた。毎月である。(笑)
大きくなるにつれて『貸本屋』には行かなくなっていた。
なぜだかは良く憶えていない。普通に本を買うこともしていたがそれ以外の遊びが忙しくなったのだったろうか…。
なにかの時に『貸本屋』の前を通ったときにお店の前でおばちゃんとばったり出会った。
『最近は見かけへんけど、元気にしている?』おばちゃんは私に気さくに声かけてくれた。
「うん、やっているよ。」私は挨拶しただけである。
これが『貸本屋』のおばちゃんと私の最後の会話になってしまった。
その後私が中学生になり、その後に違う街に引っ越してしまったのでおばちゃんに会うことはなくなった。
大人になってから住んでいた街が懐かしくなって車で走ったことあるが、当時の面影やお店は見当たらなかった。
時とともに街は変わっていく。人の心の中に懐かしい気持ちだけを残して…。